欧州徒然草

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ヨーロッパに旅行できるのはいつ?

今日はEUへの渡航制限についてのお話です.

 

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出所:Eurocontrol, "Aviation recovery – Importance of acoordinated approach", 27 April 2020.

 

本記事は5月1日時点の情報です.5月15日までは,日本人がヨーロッパに観光旅行に行くことができません.この措置は延長される可能性があります.

今回のお話は旅行に限定しています.家族への面会や留学を計画している人は別途情報を入手してください.

追記:5月8日に旅行制限が6月末まで延長されることになりました.

 

◆航空機の回復には時間がかかりそう

上図は,ユーロコントロールによるシナリオです.4月時点では空港と航空機の利用が89%減少しています.5月以降は徐々に回復すると見ているようですが,8月にはマイナス50%まで回復すると見ているようです.単純計算ですが,飛行機が半分しか飛んでいないということですので,渡航のためのチケットを取るのが難しいといえるでしょう.

 

ユーロコントロールのホームページには詳しい情報があります.また,ページの中段には2019年と比べてどれくらい航空機が減っているのかを見られる図があります.ぜひ見てみてください.

COVID-19 impact on the European air traffic network | EUROCONTROL

 

今回のEUによる移動制限は,3月16日の30日間の移動制限の勧告に始まり,4月8日と5月8日にそれぞれ30日間延長しました.現在の期限は6月末になります.移動制限は,EU27カ国中アイルランドを除く26カ国とEEA(アイスランド,リヒテンシュタイン,ノルウェー,スイス)に適用されます.

 

◆制限は国によって異なる

EU域外からの不要不急の旅行が対象になります.EU市民(EU内での長期滞在者も含む)は自由な移動を保証されているものの,国境で移動を制限している加盟国もあります.農作業などの季節労働者,医療専門家,輸送業者などは移動することができます.移動制限は人についてのみで,商品などはこれまで通り移動が可能です.

 

移動制限はEUによるものと加盟国によるものがあります.仮にEUの制限措置が延長されずに6月15日で効力が切れたとしても,加盟国が独自に移動制限をかけ続ける可能性があります.

 

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出所:Travel and transportation during the coronavirus pandemic | European Commission

 

上図は欧州委員会のホームページにあるものですが,空路での制限がない加盟国(飛行機のマークが緑の国)はデンマーク,アイルランド,エストニアなどごくわずかです.

なお,スウェーデンはウイルス関連の制限措置があまりないといわれていますが,この図でもスウェーデンやオーストリアでは商店は通常通り営業していることが分かります.チェコとデンマークでは国内の移動制限がありません.

 

通常は,シェンゲン協定内では外国人も自由に国境を越えて移動できますが,現時点では多くの国の国境で検査や通行禁止などの措置が取られています.オーストリア,スウェーデン,デンマーク,ノルウェー,ドイツなどでは今年の11月まで国境での検査などの措置が続けられる予定です.レンタカーを借りて国境を越えて移動する計画を立てる場合,事前に詳細に調べておく必要があります.例えば,以下のページで情報が入手できます.

Temporary Reintroduction of Border Control

Coronavirus response | Mobility and Transport

 

制限は乗り物別に決められています.日本人は飛行機でヨーロッパに行くでしょうから,空港や航空機の制限の情報に気を付けておきましょう.また,複数の国を移動する場合は,バスや電車になると思いますが,こちらの制限についても旅行社に問い合わせておく必要があります.

 

◆キャンセル費用は?

旅行を計画して代金を支払った後に,EUや加盟国による制限措置の延長や再導入があった場合,旅行のキャンセル代金の扱いはどうなるのでしょうか.移動制限など旅行会社や顧客に責任がないキャンセルの場合,航空券などを個別に手に入れた場合と,パック旅行で手に入れた場合で適用される法律が異なります.

 

個別に入手した航空券については,別便に乗るか全額払い戻しするかを選べます.別便に載る場合,待機のための費用は航空会社が負担します.あまりないかもしれませんが,日本からヨーロッパに行った後にウイルスの第2波が来て帰れなくなるケースで別便を提案され,ホテルなどで待機が必要になった場合には,航空会社が費用を払ってくれます.

別便と払い戻しはどちらか一つしか選べません.払い戻しを選ぶと,以降のすべてのスケジュールがキャンセルとなり,待機費用ももらえません.

EUのホームページによると,コロナウイルスがこの条件に適用されるのかどうか,現行のEUルールでははっきりしないとのことです.つまり,キャンセル料金が発生して全額返金されない可能性があるということです.

 

パック旅行に関しては,EUのルール(パック旅行に関する指令:Directive on Package Travel and Linked Travel Arrangements)では,不可避で異常な状況の下では,パック旅行のキャンセルにはペナルティを課せないことになっています.つまり全額の払い戻しが受けられるということです.ただし,コロナウイルスがこの状況に当てはまるかどうかは,加盟国政府が決めることになっています.

いずれにせよ,見込みで旅行の計画を立てる場合,制限措置が延長された場合には返金がない可能性があるということです.

 

ここで紹介したルールは,EUのルールですので,EU域内の業者にのみ適用されます.日本の業者にはそれぞれ独自のキャンセルポリシーがあります. 旅行の計画の際にはキャンセルについても確認しておきましょう.

 

◆来年の方がおススメ

日常生活も含めた制限措置は徐々に緩和されつつあり,今年の夏,8月あたりには,旅行ができるのではないかと思います.ただ,可能であれば,今年の夏の計画は来年の夏に伸ばした方がいいと思います.

 

加盟国によっては,移動制限措置の延長が採られる可能性があります.また,お城や美術館などで入場制限や休業の可能性もあります.ホテルなどは安くなっているかもしれませんが,現地を充分に楽しむことができないかもしれません.キャンセル費用の扱いも気にかかります.さらに,オリンピックが2021年開催になれば,来年の夏には一部の観光客が日本に集中してヨーロッパは(ほんの少しでしょうが)観光客が減って観光しやすくなります.

 

気軽に何度でもヨーロッパ旅行に行ける人にとっては,あえて今年の夏という選択肢もあるかもしれませんが,多くの人にとっては,ヨーロッパへの旅行は長期の休みを取るという面や費用の面でハードルが高いと思います.何カ月も前から準備して,気合を入れて行ったのに,せっかくの旅行が制限付きになるのはもったいないと思います.ちなみに,私も今年の夏のヨーロッパ行きは断念します.

 

今年の冬には,ほとんど正常に戻っていると思いますが,クリスマスマーケットなど一部で制限があるかもしれません.今年の冬にウイルス問題が再発して,移動制限が再導入される可能性もあります.クリスマスマーケットなどはぜひ体験してほしいですが,予約を取る夏の時点でしっかりと情報収集をしてから計画を立てた方がいいでしょう.場合によっては,冬も1年延期かもしれません.

 

本日はここまで.