欧州徒然草

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新50ユーロ札が発行になりました

 

今日は2017年4月4日に発行となった,新しい50ユーロ札についてのお話です.ユーロのお札は,2013年より5ユーロから順次新札に移行しています.

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(出所)画像はECBホームページ(Specimenは見本の意味).

 

50ユーロ札は日常の支払いに多く利用されており,その分偽札も多く出回っています.2015年には約90万枚の偽札が見つかっており,20ユーロ札と50ユーロ札が約8割を占めています.ユーロ紙幣が発行された2002年から15年以上たっており,より安全性を高めた紙幣の必要性が高まっていました.

新しい紙幣は,「エウロパ紙幣」と呼ばれています.それは,新紙幣にはヨーロッパの語源となったエウローペーが描かれているためです.旧紙幣には肖像はありません.エウローペーの顔の絵は,ルーブル美術館にあるギリシャ時代の壺から採られています.新しい50ユーロ札の特徴は以下の通りです.

 

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(出所)ECB, The New 50 euro banknote, p.4

 

50の数字の部分は,傾けると色が変化します.その上には透かしがあります.右のエウローペーの顔の部分はホログラム印刷になっています.左右の端は触るとざらざらするようにできています.この部分は,視覚障害の人が触っただけでどのお札か判別できるようにもなっています.その他にも,黄色の星の部分は紫外線を当てると色が変化します.スーパーのレジなどでお札を機械に通して本物かどうか確認していますが,この機械も紫外線を使っています.この画像では全く分かりませんが,マイクロ文字も多用されています.

新50ユーロ札についてはこちらもどうぞ.From creation to circulation: the journey of the new €50(ECBが作成した動画です.Youtubeにジャンプします)

 

新札の発行後も旧札は使えます.ECBの統計によると,新札の発行から1年くらいで旧札を新札が上回ります.旧札は20%-40%ほど流通していることになっていますが,実際には保存されているものが多いと考えられます.私もきれいな旧札は記録や教材用に取っています.そのため,旧札がゼロになることはないでしょう.実感としては,すでに5ユーロ札と10ユーロ札については,買い物のおつりなどで旧札を手に入れるのはほとんど無理です.ちなみに,ECBはお札の20-25%がユーロ地域外に持ち出されていると考えています.

 

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(出所)ECBホームページ.左から,5ユーロ,10ユーロ,20ユーロの流通枚数.実線が旧札,点線が新札.画像はクリックすると大きくなります.

 

100ユーロ札と200ユーロ札は2018年に新札に移行する予定です.その一方で,500ユーロ札の生産は2018年で終了し,新札は発行されません.500ユーロ札は,犯罪組織などによる利用が多いのではないかと疑われていることが背景にあります.

ユーロのお札やコインの流通量は増加傾向にありますが,同時にクレジットカード,デビットカード,電子マネーの利用も増えています.スウェーデンなどでは現金の流通量が減り始めており,将来は現金を電子化しようという話も出始めています(スウェーデンのキャッシュレス経済).

ユーロのコインについては,ラウンディングや少額コインの扱いについての話を取り上げました(1セントと2セントの将来).こちらもご覧ください.

 

本日はここまで.