欧州徒然草

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ヨーロッパのEV事情

今日はEV(電気自動車)のお話です.

こちらもご覧ください.

川野祐司「オスロのEV普及策 」世界経済評論IMPACT,No.1190

ノルウェー「グリーン首都 オスロ」の思ひで… - おさんぽわんこの旅の思ひで -ヨーロッパ編-

 

新車販売に占めるEVとPHVの比率(2018年1-8月)

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 出所:データはEuropean Alternative Fuels Observatory

 

次回からノルウェーの旅を特集する予定ですが,ノルウェーの特にオスロを歩いてみて一番驚いたのが,EVの多さです.肌感覚では10%くらいのEVが走っていましたが,実際に統計でも普及率は10%に近くなっています.地方ではEVはあまり走っていませんが,東京よりも明らかに多いのではないかと思います. 

 

ノルウェーでは,EVは2016年末の9万7500台から2017年末には13万8800台と4万台以上増えています.ノルウェーの乗用車登録台数は272万台で5%に達しています.新車販売に占める割合は,2018年は1-8月でEV26.2%,PHV(プラグインハイブリッド)19.0%で合計45%と新車の約半分がエコカーです(2017年の1年間ではEV20.8%,PHV18.4%).

 

ちなみに日本で普及しているハイブリッド車(HV)は,国際基準ではエコカーではありません.HVはガソリンをメインのエネルギー源にしており,電気もガソリン由来です.PHVは家庭用電源などで充電して走ることができ,短い距離ならガソリンを使わなくても済むためエコカーに分類されています.国際基準では,どんなに少なくてもガソリンを使うこと自体が許されないのです.

 

ヨーロッパ全体ではEV1%,PHV1.1%とまだ低いですが,ノルウェー以外にもアイスランド(EV3%,PHV13.7%)スウェーデン(EV1.3%,PHV5.6%),フィンランド(EV0.5%,PHV4.1%),オランダ(EV3.2%,PHV0.5%)と普及率の高い国があります.一方で,ドイツ(EV0.9%,PHV0.9%),フランス(EV1.2%,PHV0.6%),イタリア(EV0.2%,PHV0.3%)など経済規模の大きな国の普及率は非常に低いといえます.

なお,グラフや本文で用いたデータですが,EAFOのもともとのデータはPEVとなっており,電気自動車を指しています.ただ,ノルウェーの統計ではPEVの部分がPHVになっていますので,本稿でもPHVと解釈しました.

 

2017年から2018年にかけて多くのヨーロッパの国でEVのシェアが伸びていますが,ノルウェーが突出しています.その理由として,VAT(付加価値税)の免除や有料道路の無料化特典などのインセンティブがあるのではないかと思われます.ノルウェーのVATは25%と非常に高く,VATの免除だけでも大きなインパクトがあります.また,オスロではバスレーンの走行許可や市内駐車場の無料化などの特典もあります.ノルウェーでは電力の96%を水力で賄っていますので,再生可能エネルギーによるEV走行の実現が最も近い国ともいえます.

 

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出所:Statistics Norway.

 

ただ,上のグラフから見て取れるように,EVの普及は始まったばかりです.2025年までには新車販売を全てEVかPHVにするというノルウェー政府の目標がありますが,ほとんど全ての車が入れ替わるのは2040年くらいになるのではないかと思います.

 

ヨーロッパでは,イギリスやフランスでは2040年にはガソリン車やディーゼル車の販売が禁止されます.ドイツではハンブルク市やベルリン市の一部の道路でEV専用道路が登場しています(とはいっても本当に短い道路ですが).オランダでは道路からEVに無線で充電する実験が進められています.現在,BMW,VW,ルノー,プジョーなどがEVの開発・発売をしています.EVはガソリン車よりも加速性能がいいことから,ポルシェなどのスポーツカーメーカーもEVシフトを進めています.その中では,日本は日産(リーフ)を除くと動きが鈍いように感じられます.

 

世界を見てみると,下図のようにEVの輸出ではアメリカがダントツの1位で,その多くはテスラだと思われます.この図からは日本はハイブリッド車という1世代前の車の生産に特化していることも分かります.

 

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出所:JETRO『ジェトロ世界貿易投資報告2018』,p.13.

 

ヨーロッパの大都市では,大気の悪化は重要問題になっています.特に東欧ではディーゼル車から出る排気ガスの独特のにおいを感じます.排ガス問題はすでに健康問題になっており,生活の質を高めるための重要な政策の一つになっています.日本でもこのような視点で捉えることが重要なのではないかと思います.

 

本日はここまで.