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欧州徒然草

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スペインの時間帯が変わる?

 

今日はスペインの時間帯に関するニュースについてです.スペインの国土の大部分はイギリスのグリニッジよりも西側にありますが,イギリスからみてプラス1時間の時間帯を使っています.イギリスのグリニッジ標準時をGMT(Greenwich Mean Time)と表示すると,スペインはGMT+1,日本はGMT+9となります.スペインでは,GMT+1からGMT+0にしようとする動きが出てきています.

 

世界標準時が設定された1900年以降,スペインはイギリスと同じ時間帯を採用していましたが,1940年にフランコ将軍がヒトラー・ドイツに合わせて中央ヨーロッパ時間(CET,GMT+1)にしてから,そのままになっています.2016年12月12日にバニェス労働大臣が国会で,スペイン人の退社時間を午後6時にするための方策の一つとして時間帯の変更が考えられるという趣旨の発言をしたことから,時間帯変更の可能性が高まってきています.

 

スペインではシエスタ(昼寝)の習慣などが知られていますが,このような習慣も時間帯によるのだと考えられています.夏は遅くまで太陽が出ているため就寝時間が遅くなり,そのため睡眠不足になりがちだということです.それを補うために昼寝または長い昼休みが必要だというわけです.実際に,スペイン人の睡眠時間はWHOが推奨する睡眠時間よりも1時間短く,他のヨーロッパ諸国よりも30分以上短いという報道もあります.

スペインの平均で見てみると,労働時間は9-14時の午前セッション,2時間の休憩,16-20時の午後セッションからなっており,労働時間が長く生産性の低下につながっているという指摘もあります.高い失業率や家庭環境の悪化にもつながっているという指摘は多くあります.冬には子供たちは暗い中で登校しなければならないとか,家族との時間が取れないとか,夜は明るくて早く寝られないとか,ニュースサイトでは様々なエピソードが出てきます.

 

時間帯の影響はあるかもしれませんが,時間帯を変えてもスペインの生産性や失業率に影響が出るとはとても思えません.まずは,time-j.net/ というサイトでマドリードの日の出と日の入りを見てみます.

2016年の夏至(6月21日)は,日の出6時44分,日の入り21時48分,冬至(12月21日)は日の出8時34分,日の入り17時51分となります.確かに,夏はいつまでも太陽が出ていて,冬は朝も暗いです.しかし,過去記事にある2009年のドイツ・マールブルクでは,夏至は日の出5時11分,日の入り21時42分,冬至は日の出8時24分,日の入り16時23分となります.夏は同じくらい日の入りが遅く,冬の日の出も遅いのです.北欧では夏の日の入りはさらに遅く,冬は昼が非常に短いです.確かに北欧では冬にうつ病や自殺が多くなることが指摘されていますが,スペインよりも生産性は高く失業率は低くなっています.ちなみに2016年の東京は,夏至は日の出4時25分,日の入り19時0分,冬至は日の出6時46分,日の入り16時31分です.

 

時間帯の変更は健康面での改善はあるのかもしれませんが,フランコ時代との決別という意味合いが大きいのではないかと思われます.時間帯に関する議論はスペインでは以前からあるようで,2013年にもスペイン議会に時間帯に関する報告書が提出されています.また,スペインの時刻を変えるための国民会議(Comisión Nacional para la Racionalización de los Horarios Españoles)という民間団体が時間帯をGMT+0に戻すための活動をしています.時間帯の変更を主張する人々は,1930年代にはスペイン人は昼食を13時に,夕食を17時半に取っていたのがフランコ政権のせいでおかしくなったといっていますが,これはライフスタイルの変化が原因で,他の国々でもライフスタイルが夜型に移行しています.

 

いずれにせよ,2017年に旅行する予定のある人は,時間帯に注意してください.時間帯の変更は議論されている段階で決まったわけではありません.しかし,もし変わるのであれば,サマータイムに移行する3月かサマータイムが終了する10月が候補となります.

 

ちなみに,ヨーロッパでは,

GMT+0:アイスランド,アイルランド,イギリス,ポルトガル

GMT+1:ノルウェー,スウェーデン,デンマーク,ドイツ,ポーランド,オランダ,ベルギー,ルクセンブルク,チェコ,スロバキア,フランス,アンドラ,スイス,オーストリア,ハンガリー,イタリア,サンマリノ,モナコ,バチカン,スロベニア,クロアチア,セルビア,ボスニア=ヘルツェゴビナ,モンテネグロ,コソボ,アルバニア,マケドニア,マルタ

GMT+2:フィンランド,エストニア,ラトビア,リトアニア,モルドバ,ルーマニア,ブルガリア,ギリシャ,キプロス(南側),カリーニングラード(ロシア),ウクライナ

GMT+3:ベラルーシ,トルコ,キプロス(北側)

となっています.

 

本日はここまで.